数多くのアップサイクル商品を生み出すために、廃棄漁網から製造されたテキスタイルの展示会を初めて開催。

Alliance for the Blue(以下、AFB)は5月21~22日の2日間、東京都渋谷区内で、廃棄漁網由来の生地やパーツを集めた素材展示会(以下、本展)を初めて開催いたしました。国内で回収された漁網のリサイクルにご尽力いただいている協働企業の「モリトアパレル株式会社」(以下、モリトアパレル)、繊維専門商社の「瀧定名古屋株式会社」(以下、瀧定名古屋)2社との合同展示会です。本展では、アップサイクル商品の開発を検討されているアパレル関係者やバッグメーカーをはじめ、廃棄漁網を活用した再生樹脂製造販売の「リファインバース株式会社」や、「三菱ケミカル株式会社」、「内外ゴム株式会社」などにご来場いただき、エコフレンドリーなアップサイクル商品づくりにご関心を寄せていただきました。

各社の生地やAFBのパネルが展示された初開催の素材展示会

生地メーカーとアパレル企業のマッチング。廃棄漁網生地に直接触れられる展示会

AFBでは、日ごろより廃棄漁網由来の素材を使った商品づくりや、協働企業との商品企画・開発などに力を入れています。

モリトアパレルの廃漁網リサイクル生地は、「BEAMS GOLF」製品や、豊岡鞄スクールリュック「UMI(ウミ)」製品、株式会社ドリームファクトリーの「3D ネックマッサージャー プレミアム」などに採用されています。
瀧定名古屋の廃漁網をリサイクルしたナイロン樹脂「REAMIDE®(リアミド)」は、北海道厚岸町で開催された「第42回全国豊かな海づくり大会」のノベルティトートバッグ生地として活用されるなど、各社ともにアップサイクル商品化に多大なご尽力をいただいています。
そんな各社が開発した素材を皆さまにも知っていただくべく、試験的に実施した本展では、衣服や服飾雑貨にも使用できる生地などを幅広く展示いたしました。

リサイクル素材が一堂に会する展示会は珍しく、生地を製造している企業とアパレル企業の方々のマッチングの場としてもご活用いただくことができました。

北海道で回収した廃棄漁網が、新しい素材や商品に生まれ変わるまでの活動を紹介

本展では、海洋プラスチックの原因にもなりうる「廃棄漁網」の回収からリサイクル、手元に商品が届くまでの過程がわかるパネルや映像を展示して解説いたしました。

AFBの協働企業が地元漁師さんたちと協働している北海道厚岸町には、サケ・マス漁獲のために使われているプラスチック製の漁網が集積されます。特にサケ・マスなどの刺し網漁で使用される漁網は、破れるなどの消耗が激しく、1~2年に1回の頻度で交換しなくてはならないのです。

網を廃棄する際には産業廃棄物として処理する必要があり、焼却したり、埋め立てたりしていますが、網は塩を含んでおり、かさばるので、厄介者として扱われ、廃棄にはお金がかかってしまいます。また、漁網が万一海に流れてしまった場合の回収はとても大変で、生態系にも影響を与えてしまいます。

一方は、同一素材で作られていることが多く、分別・洗浄をきちんとすれば、リサイクルに適した素材とも言えます。AFBでは、そんな漁網を回収して再資源化できないかと、多くの企業との協働に力を入れてきました。

同町では、地元企業や漁師さんと協働し、廃棄漁網を回収しています。これらの網は高度なリサイクル技術で再生樹脂となり、原料を糸にしたり、コットンなどと織り交ぜたりすることで、本展参加企業などによって再生生地として製造・販売されています。

漁網はそのまま捨ててしまえば「ごみ」に変わりありませんが、漁師さんはじめご協力企業との協働で、「資源」として新たな製品に生まれ変わる可能性を秘めています。

AFBでは、そうして完成した製品の売り上げの一部を、磯焼けした藻場の再生プロジェクトに活用させていただくことで、環境保全のより良い循環の仕組みをつくっています。

初めて開いた小規模な展示会には、さまざまな再生生地が勢ぞろい

昨今はサステナブルの観点から、各業界のプロダクトで活用できる「環境に配慮された素材」に注目が集まっています。本展では2社とともに、衣服や服飾雑貨にも使用できる生地のほかに、テープやパーツ類もご紹介いたしました。
生地は、綿やナイロン、メッシュなど、REAMIDE®の8パターン54色、MORITOからは5パターン20色と豊富な種類の素材を展示し、お手に取ってご覧いただきました。

再生生地に触れることで、「シティ用のバッグやポーチになるのではないか」、「高級感ある商品が作れるのではないか」とさまざまなアイデアが浮かんだとのご意見もいただき、今後の商品展開などへの期待が高まりました。

お客さんや経営層の要望から、海洋環境問題の関心増を実感する企業も

来場者アンケートでは、回答者の8割以上から「商品やモノづくりに採用検討したいと思った生地や素材があった」と好意的なご意見をいただきました。素材だけでなくパネルでのご説明も実施したことで「リサイクルされたテキスタイルや、アップサイクル商品」への関心も多く寄せていただきました。

 また、ご回答いただいた企業の約9割では、お客様(消費者や取引先)の海洋環境問題への関⼼・商品購⼊を通した問題解決への関心が「とても高まっている」「高まっている」と感じているとの回答もありました。経営層からの関心の高まりも感じてらっしゃるようでした。

本展の開催を通じて、企業同士のマッチングや、アップサイクル商品化を検討されてらっしゃる方の声やニーズをお聞きすることができました。

AFBでは、引き続きこのような展示会を開催し、再生生地への関心を高めていくことができるよう、活動に励んでまいります。今後ともご支援をよろしくお願いいたします。